脈診  その４　脈診と周りの環境

脈で体の問題を見つける時には、まずは正常な状態を知る事が必要です。暑い時は暑い様に、寒い時は寒い様に変わる脈の形を知る事で何が異常かを知ることが出来ます。　

夏なのに脈が縮こまった様な冷えをあらわしていたり、冬だと言うのに熱がこもった様な脈になっている時はどこかに問題があります。

この様な問題があるとエアコンの寒さが変に体にこたえたり、のぼせたり、変に汗をかく事で風邪をひきやすくなったりします。

問題がある時は、まずなぜその訴えが起きているのか探っていきますが、ただそれだけを考え脈を診てもなかなか難しいものです。

無意識のうちに影響を受けている様な暑さや寒さ、季節の変化など環境の変化を頭にいれその上で体をみると問題の場所がみえてきます。

長引く問題には、こういう環境と体のズレが隠れているという事がよくあります。ただ訴えだけを考えるのではなく周りの環境と合わせて体の状態を考えるという事が大切です。

雨の日は寒くてうつうつと気分も沈みがちです。この様な時は体もあまり活発には働かずどこも少し抑え気味になります。

脈も例外では無くこういう時はいつもよりゆっくりと沈んだ感じになります。

その日の天気によって体は影響されるので、脈診をする時はその様な変化を踏まえて病の状態を考える事になります。

人の体が寒いに縮こまる様に脈にもそのような状態の変化が現れます。

例えば夏の雨の日なら、全体的に夏らしく大きくなっていて、その中で雨の影響が出て少し静かになります。

自分の感覚では分からなくても体は自然に合わせ色々と変化しています。脈診を使ってよく体の状態に合わせたはりをする事が大切です。

自分でも脈の変化を感じられるものに運動による心拍数の増加があります。

この様な変化は誰でも起こるものですが、中には運動をしていなくても脈が早くなっている人がいます。

その様な時は、脈が早くなるだけではなく固く指を突き上げるような強さがあり、体の方も神経的に高ぶって筋肉も緊張していたりします。

脈は心臓の異常が無い時でも自律神経の影響を受け早くなったり固くなったりする事があります。

特に「ストレスが溜まっていて発散したい」「休日にまとまって思い切り運動をしたい」という様な場合は、すでに体に偏りが出ていて脈も早くなっている事があります。

自分では気づかないようでも体は無理をしていて、ケガをしやすくなっていたり、運動の後に痛みが出やすくなっていたりします。

脈の早さは運動や緊張で変わるものですが、中にはそれが取れずずっと続いている場合があります。そういう時は体を整え状態をひどくしないようにする事が大切です。