めまい その６　めまいのツボ

はりは、その方の体に合わせて使うことが大切です。

特に強いめまいがあるときは、はりの使い方もゆっくり柔らかくして、ツボも絞り込んで選ぶ必要があります。

ここでは、体に合わせたはりの使い方や、めまいのときに大切になる体の見方をご紹介しています。

ツボには一つひとつ意味がありますが、使うときは全体として一つの働きを持つように組み合わせるのがコツです。お困りのときは、どうぞお気軽にご相談ください。

めまいのときによく使うツボのひとつに「中封（ちゅうほう）」があります。

足にあるツボですが、めまいのときによく反応を示し、不調があると押すと強い痛みが出ることがあります。

使うときは、左右を押し比べて反応の強い方を選ぶのがコツです。

ツボを押すときは、体の反応に合わせて押す力を加減します。

中封穴を押した時に、強い痛みがある場合は、圧も強めで押した後すっきりする様に押していき、押した感じがじんわりと心地よいと感じる時は、それに合わせてゆっくりと深く押していきます。

大切なのは「気持ち良さ」を感じられる強さで押すことです。無理に押して体が疲れてしまわないように、心地よいと感じる強さを目安にしてみてください。

同じ「めまい」でも、急にぐるぐる回るような強いめまいと、ふわふわと浮くような軽いめまいでは、体の反応が異なります。

体の抵抗力が強く、激しいめまいを起こしているときは、ツボも盛り上がり、押すと痛みを感じることが多くなります。体がしっかり反応を示している状態です。

一方で、体が弱っていて、ふわふわとしためまいが続く場合は、ツボもゆるみ、押すと「気持ち良い」と感じることが多くなります。

ツボの反応は常に一定ではなく、その時々の体の状態を反映し、充実して痛くなったり、ゆるんで凹んだりします。

はりを行う際は、まずめまいを起こしている経絡（けいらく）を見極め、その中から反応のあるツボを選びます。

経絡の中には、痛みを感じるような充実したツボもあれば、力の抜けた虚したツボもあります。ツボ本来の力を引き出すには、その中から、今の体の状態に最も合ったものを選ぶことが必要です。

体に抵抗力があり、めまいが強いときは「押すと痛いツボ」を、反対にめまいが長引いて体が弱っているときは「押して気持ち良いツボ」を選びます。

ツボは、その時の体の状態に合わせて反応を変えます。今の体が何を必要としているのかをよく観察し、目的に沿ったツボを選ぶことが大切です。

めまいを落ち着かせていくには、一時的にふらつきを抑えるだけでなく、少しの無理にも耐えられる安定した体をつくっていく必要があります。

そのためには、はりも毎回同じではなく、季節や生活リズム、心身の状態に合わせて変えていくことが大切です。

施術では、どのツボを使うかだけでなく、はりを「どのように使うか」によっても結果が変わってきます。

めまいは、体への無理が続いたり、強いストレスを受けたときなど、神経的な疲れがたまったときに起こりやすくなります。

そういうときは、あまり強い刺激を与えると体が防御してかえってこわばり、緊張が強まることがあります。

めまいが強いときは、細く柔らかいはりを使い、痛みが出ないようにゆっくりと動かすなど、刺激の仕方にも工夫が必要です。

はりの結果は「強さ」ではなく、「体との調和」の度合いで決まります。

安定した状態をつくるためにも、今の体がどのような状態にあるのかをよく観察し、丁寧に施術していくことが大切です。