骨盤　その３

尿もれは、笑ったり、力んだりしてお腹に力が入る事で漏れが生じる厄介な問題です。

これは尿の出口を閉じる筋肉が緩くなる事で起こりますが、そこには筋肉を調整する神経やすぐトイレに行きたくなるという様な自律神経の問題なども関わってきます。

画像や数値に表れないものも体に問題が無いわけではありません。

これは何かの病気のせいというものでは無いので病院で検査に引っかかったり、MRIに問題が映ったりという事はありません。

緩みに対してはお尻を締める動きを繰り返すトレーニングが勧められますが、それだけでは追いつかない場合もあります。はりでは、神経の働きに注目して調整を行い上手く膀胱に尿が溜まる様にしていきます。

病気にならないまでも体に問題があるというものを東洋医学では未病（みびょう）と言います。尿もれの様な問題も画像や数値に出て来ないから問題が無いというのではなくやはり体を整える必要があります。上手く体の働きを整えて健康で楽しい毎日を送りましょう。

腰痛と言っても色々なものがあり、中には尾底骨（びていこつ）やお尻の奥の方に痛みがある事もあります。

その様な時は、腰だけでは無く骨盤が痛みの元となっている可能性も考えます。骨盤の中央部には、仙腸関節（せんちょうかんせつ）といって背骨を支える大きな関節があります。

ゆがみの元となる体の働きを整える事が大切です。

座る時も立つ時もここの関節には大きな力がかかり、常に緊張を強いられるので少しの事も痛みに繋がります。

また足からくる筋肉もこの骨盤を介すので働きにアンバランスが生じればそこに繋がる仙腸関節にもゆがみが生じ痛みの元となります。鍼灸はこれらの筋肉の働きを整える事で痛みの元となる骨盤にアプローチし、痛みの改善に繋げていきます。

骨盤というとゆがみや足の長さが気になりますが、それらはいきなり出るのでは無くこの様な働きが上手くいかない事で作られていきます。痛みがある時は、その場所ばかりが気になりますが、どうして出ているのかその元を考え根本から対処していく事が大切です。

骨盤の中には、子宮や卵巣など妊娠に重要な臓器がおさめられています。その為、不妊の時には骨盤調整などがよくやられたりします。

鍼灸の場合は、ここを通る神経やツボの流れである経絡（けいらく）を使う事で直接問題にアプローチしていきます。

神経やホルモンの働きも含めた全体的な体の調整が必要です。

妊娠には、神経とホルモンの二つが関係していますが、これを上手く働かせるためには、どちらか片方だけでは無く両方整えていく必要があります。

全身をめぐる経絡は、骨盤のバランスを取る為の経絡がそのままホルモンの分泌に関係していたり、全身の冷えの改善に繋がったりしているのでその様な事も含めて体を調整していく事が出来ます。どちらか片方だけとなるとせっかくホルモンが上手く出ても骨盤回りの血流の改善が追いつておらず子宮や卵巣の働きが悪ければ上手くいかずにタイミングを逃してしまいます。

この様な問題というのは、自分で感じられるものばかりでは無いのでツボに表れている凹みや緊張、脈やお腹の硬さなど昔から使われてきた東洋医学独自の体の見方を持って判断していきます。

鍼灸では、今の様な不妊の治療が広まる前からこの様な事を考えツボや診察の工夫をしてきました。骨盤が悪いと言っても問題はゆがみだけではありません。実際に出ている不調や冷えなどの問題を頭に入れ骨盤も含めた体の調整をしていく事が大切です。

インターネットなどを調べると様々な情報が手に入る様になっていますが、この様な事が分からないと今一何を言っているのかつかめないという事もあります。何か調べる時はこの様な事を思い出し自分の体と照らし合わせながら読んでみてください。